【1】
とことことこ……。畑をたがやすトラクターのけいかいな音が聞こえてきます。
ここは、ピギーさんと、そのおくさんのマブさんの農場。
この、両手いっぱいに野菜をかかえているのは、ブーニーさんです。
「ああ、今日もいっぱいうんまそうな野菜がとれた!このうんまそうな野菜を見てると、はらぺこになってきちゃうなあ。おなかがぐうっとなりそうだ!」
すると、
「おにいさーん!そろそろおひるごはんにしましょうよ!」
ちょうどタイミングよく、マブさんがブーニーさんにこえをかけました。そう、ブーニーさんは、マブさんのおにいさんなのです。
ブーニーさんは、ピギーさんの家族といっしょに、まいにち農場ではたらいています。そして、カボチャやトマト、にんじんにほうれん草など、いろんな野菜を作っています。
ブーニーさんはとてもはたらきもので力持ち、しかも野菜づくりの名人だったので、ピギーさんの畑は大豊作!大きくて味もいい、栄養まんてんの野菜がいっぱいいっぱいとれました。
【2】
野菜がいっぱいとれたので、ブーニーさんは、その野菜を使って、もっといろんなものを作りたいと思いました。
「こどもも、大人も、野菜ぎらいも野菜大好きも、みんながよろこぶ、もっとうんまいものが作れないかな?」
そこで、ブーニーさんは、発明が得意なストーブさんにそうだんすることにしました。
「野菜を使ってもっとうんまいものが作りたいんだけど、ちょっと力をかしてくれないかい?そしたら、うちのうんまい野菜を食べたいだけ食べさせてあげるから」
それを聞いたストーブさん。どん、とひとつ胸をたたいてこう言いました。
「そういうことならまかせとけ!ぼくが、最高にすてきな野菜工場を作ってやろう!」
そして数ヶ月後。ピギーさんの畑のそばに、ブーニーさんの野菜工場ができあがりました。
真っ赤なトマトのジュース、きれいなだいだい色のにんじんクッキー、ふんわりいい香りのほうれん草ケーキ、そして、ぷるぷるあま〜いかぼちゃプリン。
ブーニーさんの栄養まんてんの野菜で作ったものは、どれも最高の味で、たちまち大人気になりました。
【3】
工場の製品が大人気になったので、ブーニーさんは、いっそういっしょうけんめいはたらくようになりました。
もっと もっと 大きくなあれ
もっと もっと うんまくなあれ
村じゅう みんなが はらぺこだ!
そんな歌を歌いながら、毎日毎日野菜を育て、それをたくさん収穫しては、工場に持って行って、ジュースやおかしを作りました。
そんなある日のこと。
いつものように畑にやってきたブーニーさんは、かぼちゃ畑を見てびっくりしました。そこには、ブーニーさんが今までに見たこともないような、大きな大きなかぼちゃができていたのです!
「わあっ!こりゃあ、なんて大きなかぼちゃなんだ!そんでもって…なんてうんまそうなかぼちゃなんだ!!!」
ブーニーさんのおなかが、ぐうっと音をたてました。
【4】
「これだけあったら、100人ぶんのかぼちゃクッキーと、100人ぶんのかぼちゃケーキと、100人ぶんのかぼちゃプリンが作れるぞ!よし、村じゅうのこどもたちを招待して、かぼちゃパーティをひらこう!」
ブーニーさんが、ピギーさん一家の力をかりてようやく工場までかぼちゃをはこぶと、たちまち村のみんなが集まってきました。
そして、みんなでかぼちゃを割って、大きなスプーンで中味をくりぬき、歌を歌いながら、みんなでかぼちゃを工場の中へはこびこみました。
もっと もっと 大きくなあれ
もっと もっと うんまくなあれ
村じゅう みんなが はらぺこだ!
かぼちゃのあま〜いにおいが村じゅうにただよって、村じゅうのみんなのおなかがぐうっとなりました。
そしてとうとう、100人ぶんのかぼちゃクッキーと、100人ぶんのかぼちゃケーキと、100人ぶんのかぼちゃプリンが完成。
「いただきまーす!」
みんなでいっせいに食べはじめました。
【5】
「ああ、うんまかった!まんぷく、まんぷく!」
100人ぶんのかぼちゃクッキーと、100人ぶんのかぼちゃケーキと、100人ぶんのかぼちゃプリンをたべて、ブーニーさんも、みんなも、おなかがいっぱいになりました。もう、おなかがぐうっとなっている人は、だれもいません。
「でも、この“から”はどうしよう?」
目の前には、半分に切られて、中身をくり抜かれた、大きな大きなかぼちゃの“から”がのこされていました。
「もう食べるところはのこってないし…でもすてちゃうのももったいないし…」
ブーニーさんがなやんでいると、いっぴきの子ブタが、ブーニーさんに話しかけました。
「ねえ、おなかがいっぱいになったから、今度は遊びたいな!このへんに、どこか遊べる場所はないの?」
それを聞いて、ブーニーさんはひらめきました。
「そうだ!いいこと思いついた!」
【6】
ブーニーさんが作ったのは、かぼちゃの“から”でできた「かぼちゃプール」でした。
そしてもう半分は、入口をきりぬいて、こどもがはいって遊べる「かぼちゃかまくら」にしました。
おなかいっぱいたべて、プールやかまくらでちからいっぱい遊んで、こどもたちはみんな大満足。
「われながら、うんまいアイディアだったな!よーし、明日からも、いっぱいいっぱい、うんまい野菜を作るぞお!」
ブーニーさんも、満足そうにほほえみました。
おしまい
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